記事公開日:2021年6月26日
最終更新日:2025年9月26日
「心配性の彼は、直感で前へ進む彼女を守るための保護者として君臨する」。テニエルはいつもいつも、アリスのことが心配。
さて今回はArcaeaのサイドストーリー、”Ephemeral Page”の後半を読みたい。ここでこの二人の物語は幕を閉じるよ。
Arcaeaストーリー Ephemeral Page②
前回はこのパックの前半部を読んだんだけど、大きな展開があるわけじゃなくどちらかと言うとキャラそのものに焦点を当てた。
記事公開日:2021年6月23日最終更新日:2025年9月26日 「"アリス"の名を冠する少女と、ある男性がこの世界に落ちた」。という感じで、Ver3.3から収録された楽曲パックのEphemeral Page。[…]
女の子のアリスは年下で、自分の思いついたままに行動するタイプだから恐れ知らずで好奇心旺盛。対する男性のテニエルは年上でナルシストな現実的思考の持ち主。仲の良い関係性ではあるが、テニエルは完全に保護者という役目が強いね。
さて今回は、この物語の続きをこれから読んでいこう。そろそろ何かしらの展開があるかもしれないので、よくよく着目したい。
開くページに融ける虚実
https://arcaea.lowiro.com/ja
引き続き、一本道のタイルとして並べられているのでそのまま読める。ちなみに最後まで読むだけなら、パックアペンドを追加で新しく購入する必要はない。
7-4
世界が非現実に溶け合う様子に心を奪われるアリスに対し、テニエルは表情に乏しく感激を外に出さない。だがアリスは彼の内面に何か秘めたものがあると疑い、喜びの欠片を見つけようと観察を続ける。
ある日、二人は古いアトリエの記憶に入り、アリスはこっそりドアの陰に隠れて彼を見守る。テニエルはキャンバスの前で木炭を手に取り、黙々とスケッチを始める。アリスはその様子をからかうように眺めるが、やがて彼がかつては陽気に帽子を替え、詩を引き合いにして彼女を導いてくれた存在だったことを思い出す。
今の彼は仮面を被ったようで、以前のはしゃぎや喜びは見られない。テニエルが描いたのはティーカップの模写であり、「模造品に過ぎない」と淡々と言いつつも、アリスの想像力を褒めるような言葉を洩らす。
二人は軽口を交わしつつ、いつの間にか互いの目を見つめ合い、言葉より先に何かを理解し合う──彼の変化、そして彼女の察しが交差する瞬間で物語は区切られる。
アリスはテニエルの内面を刺激すべく、喜びの欠片(多分記憶の硝片)を探す。そこで見つけたアトリエの記憶に潜り込むと、テニエルは人が変わったかのように陽気になった。
ただアリスから見れば、この変わりようを怪しみつついつも通りの会話を繰り広げるという。ちなみにここ、要約には書いてないけど最後にアリスがテニエルに対して「兄さん」と呼び掛けていたが…?


7-5
アリスが「兄さん」と呼んだ一言から緊張が高まる。からかい半分のやり取りがエスカレートし、アリスは真剣に問い詰める――テニエルは自分が彼女の“兄”かどうかをはぐらかし、動揺を隠そうとするが言葉を詰まらせる。
やがて彼は正直に「私は君の兄ではないが、彼のことは覚えている」と告げ、ベストから一片の硝片(Arcaeaの記憶)を取り出す。硝片はアリス自身に関わる記憶で、そこに映る「彼」の痕跡をテニエルは感知していたという。
彼は、散らばる無数の硝片の中から彼を思い出した過程を説明し、その代償としてアリスの無知が続くことを願ったと告白するが、同時に「戻ってからはそう言えないかもしれない」と震える声で忠告する。
アリスは硝片を受け取り、中に見える陽光や揺れるカーテンに見入る。テニエルは自分を「模造品」と名乗りつつも、今回は彼女に忠告する価値があると告げる。最後に帽子を交換するしぐさとともに硝片を起動し、画面が別の馴染みある光景へと変わっていく。
二人の間にある本当の関係と秘められた記憶が、いよいよ核心へ触れ始める場面で終わる。
一つ前の「兄さん」という言葉が、二人の関係に緊張を走らせた。どうやらテニエルはアリスの実兄というわけではなく、彼女の生前?の記憶から見られた姿を模している。
彼が持っていた記憶の硝片を取り出した後、アリスはその中に入りかつての光景を目にし始めたみたいだ。何かの真実を知ったら、元の二人の戻れない危険性を持ち始めたが?


7-6
物語は、味気ない病室の風景から始まる。アリスは白い病床の窓辺でオオカバマダラを見つめると、失っていた記憶――公園の近さ、優しい看護師たち、ほとんど毎日ここで過ごしていたことが一気に流れ込んでくる。
やがて、テニエルに似た青年が現れるが名はセドリック。彼は花を供え、穏やかにアリスと日常的な会話を交わす。そこから明かされるのは、アリスが実は長く病床にあり、旅と感じていたものの多くは読んだ物語や夢だったということ。
数日の時間を経て、痛みと孤独の記憶、最期に誰も間に合わなかった現実が示され、「あなたは死んだのだ」という残酷な真実にアリスは直面する。
記憶は褪せ、テニエルは模造品だった可能性が示唆される。荒れたArcaeaの中で孤独を噛みしめ、 自分の人生が自分のものではないという絶望に襲われるが、やがて感覚を頼りに「自分は生きている」と確かめる。
手の感触、花の香り、味覚――五感が現実を保証するというテニエルの言葉を反復し、アリスは生き延びる決意を固める。テニエル(あるいは彼に似た存在)を取り戻すため、記憶と真実を掴み直す道を歩むことを誓い、まずは紅茶を淹れて捨てるといった小さな所作から再出発しようとほほえむ——そうして物語は終わる。
あの硝片に入ったアリスは全てを知った。自分は病弱であり、セドリックという兄がいたことを。そして彼女は病魔に侵され、生前の世界では明確に亡くなった。
その記憶を知ってArcaea世界に戻った後、テニエルは目の前から消えていた。何故なら、アリスは真実を知ってしまったから。でも、ここでは自分の五感があって生きている実感が確実に持てるという。
だから“テニエルが存在していた”という現実を見出すため、再びここで生きる決意を固めた彼女はより、芯が強い女の子になったのだ。


アリスは強い娘
これでEphemeral Pageの物語はおしまい。アリスは悲しい運命に翻弄された少女だったが、転生後はその真実を知っても前を向く。
元々直感で行動するタイプだったから、ある程度はポジティブになれたことが不幸中の幸いだったと言えよう。彼女の本当の旅路はここから始まるのかもしれない。
今回はここまで。最後は悲しい状態で締めくくられるかと思ったが、何とか持ち直して新たに再出発の決意を固めてくれた彼女は本当に強い。次のお話は、また別のキャラが出てくるサイドストーリー、”Divided Heart”へ。
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