記事公開日:2021年6月23日
最終更新日:2025年9月26日
「”アリス”の名を冠する少女と、ある男性がこの世界に落ちた」。という感じで、Ver3.3から収録された楽曲パックのEphemeral Page。
今回は本パックの主役ともいえる、アリス&テニエルをメインに据えたサイドストーリーのお話を要約しつつ、考察を交えていこう。
Arcaeaストーリー Ephemeral Page➀
前回のお話は、全くの別キャラである”レーテー”の物語をつづった。彼女はArcaeaの世界で見られる記憶の硝片を見て、自分がその語りの担い手になる。
そういう決心を固め、この世界で自分が生きる意味を見出した少女のお話だったね。
記事公開日:2021年6月20日最終更新日:2025年9月25日 「何が彼女にとって一番大切だったのか?」。大きな波乱こそ無いものの、レーテーは物思いにふけることが多い模様。今回はArcaeaのサイ[…]
さて今回はと言うと、前置きにある通り別のパートナーを主役にこしらえたお話を見ていきたい。アリス&テニエルという、本作オリジナルキャラのコンビ。
アリスは水色のワンピースを纏う少女、テニエルはそばにいるシルクハットをかぶったスーツ姿のイケメン。このゲームでは唯一の男女ペアともいえる。
彼と彼女はどんな話を繰り広げる?
探求の旅路に終わりはない
https://arcaea.lowiro.com/ja
ストーリーモード上では、第一部第二節にあたり一番左上に一本道で配備。
7-1
暗く奇妙な庭園――アメジストの柱が立ち、銀の網がきらめく白い荒地で、少女アリスは装飾的なパステルグリーンの机に座り、革のスーツケースに手を置いている。そばには保護者のような青年テニエルがいて、いつものようにティーカップを手にし、静かな風景と音のない記憶群を眺めている。
二人きりの世界で、アリスは「最後に音を聞いたのはいつか」と問い、テニエルは耳を澄ませながら答えられない。やり取りは軽い冗談交じりで、テニエルが自分の美貌を誇ったり、アリスがたしなめたりする日常のやりとりが続くが、背後には「発つべきだ」という確かな促しもある。
テニエルは離れないと固く誓い、アリスもそれを受け入れる。二人は白い地平線へ向かって立ち上がり、歩き出す。通り過ぎるごとに現実感のある記憶たちが滴るように消え、虚空へ溶けていく。
ただしアリスの肩元で戯れる黒と橙の蝶だけはしばらく残り、テニエルもそれに気づくが、やがてそれも例外ではないと察する。結局、この世界では生きた記憶もやがて失われる──互いに慰め合うような短いやりとりと、静かな決意をもって二人は歩みを続ける、という話だ。
まず、早速アリス&テニエルが名前付きで出てくる。周囲が荒れ地に囲まれたアメジストの庭園にいる二人は、他愛ない会話を広げた後に歩みだす様子のシーン。
おそらくまわりの環境的に、すでにArcaeaの世界に居ることがわかるね。この二人が強い絆で結びついているので、一緒にいる時間も相応に長かったのだろう。互いを信頼している感じだ。


7-2
アリスはこれまで数多くの世界を旅してきた探究者だが、今いるこの「Arcaea」は格別に奇妙だった。ここでは、流れ込む記憶が映像だけでなく、音や匂い、味、触覚まで五感を通して実感できる。そこから生まれる疑問――「現実とは何か?」――をアリスは素直にテニエルに問う。
テニエルは淡々と返す。「君の五感がこれを現実と認識しているなら、それで現実だ」と。理屈よりも体験の確かさを重視する彼の答えは、アリスにとって議論の終着点であり、やや諦めにも似た安心を与える。
二人の関係は日常的で小さな戯れに満ちている。テニエルは紅茶をぽんと地面に捨てて炎を消したり、自分の容貌を軽く自慢したりする。アリスはたしなめつつも内心で微笑む。テニエルが無意味な言葉を発する人物でないことを理解し、促しに従って二人は白い地平へと歩き出す。
歩きながら現実感の強い記憶が次々と薄れ、やがて消えていく。肩元で戯れる蝶だけが一瞬残るが、例外ではないと互いに悟る。
アリスは時折、テニエルの存在が当たり前になっていることに気づく。だが近頃、その日常にも微かな変化が混じり始めているらしい。考えがふとよぎるものの、新たな風景が現れるとその想念は消え、二人の旅は淡々と、しかし確実に続いていく――という話だ。
元々アリスは様々な世界を渡り歩いた娘だが、この世界はとても奇妙に見えるみたい。見られる記憶は映像だけでなく、五感を刺激するという効果があるから。
この二人は一緒に行動するのが当たり前だと思っていたが、どうやらその日常にちょっとした変化が訪れ始めるという、これから何が起きるかわからない展開に。


7-3
テニエルは決して嘘をつかない人物だ。呼吸や飲食の必要はなくても、それらを知る術を持ち、彼女を守り導いてきた。しかし彼の真実は両刃である。見えるもの・感じるものを「現実」と断じることは彼女に安心を与える一方で、知らなくてもよい残酷な事実を突きつける危険もはらむ。
真実が人を打ちのめすことを彼は熟知しているが、それでも偽りは選ばない。
そんな彼が、ある日アリスに小さな花を見せられる。淡い色が可愛らしいその花の名前を問われ、彼は「いずれ消える」と答える。だがアリスは「好ましい」「消えないと思う」と言い張る。テニエルはふと憂慮しつつも、紅茶をひとつ地面にこぼしてみせ、「好きにするといい」とだけ告げる。
彼は彼女の直感が正しいことをよく知っており、それゆえに案じているのだ。アリスは嬉々として花を耳元に差し、誰にも生き方を決めさせはしないと宣言する。テニエルは虚空を見つめながら苦笑し、彼女が正しい――そして彼にとってそれが不運であることを噛みしめる。
要するに、このやりとりは二人の関係と立場の縮図だ。真実を守る者と、真実に縛られず自分の感覚に従う者。彼は知りすぎているがゆえに心配し、彼女は知らぬ強さで前へ進む。
テニエルはリアリスト思考の持ち主で、どんな悪いことでもちゃんと現実として受け止めアリスに伝える役割を持っているらしい。アリスはその逆といった感じが見て取れる。
彼女は直感で行動することが多いあまり怖いもの知らずという面があるけど、彼は心配性な面が強いからかそれはそれでコンビとしての相性が良いのかもしれない。


考えや性格が全然違う二人
Ephemeral Page前半はここでおしまいだが、ここは二人の性格性における関係が良く分かるお話だったね。心配性と直感で生きる者同士が、互いをカバーする役目になる。
メインビジュアルのみではわからなかった、アリス&テニエルの結びつきがはっきりしたところ。今まで他のキャラは、基本一人で行動していたからね。本ゲームでは新鮮だ。
二人の旅路には何が残るんだろう?
今回はここまで。次はEphemeral Pageの後半を読み、この男女ペアが歩む旅の先に待つ結末を見届けていきたい。それにしても、テニエルはイケメンだけどナルシストやな。
記事公開日:2021年6月26日最終更新日:2025年9月26日 「心配性の彼は、直感で前へ進む彼女を守るための保護者として君臨する」。テニエルはいつもいつも、アリスのことが心配。さて今回はArca[…]