記事公開日:2021年4月21日
最終更新日:2025年3月25日
「Arcaeaという物語は、ここから全てが紡ぎ出される」。超感覚リズムゲームである本作は、美しくも儚く幻想的な世界観が広がる。
そこに姿を表すのは、光と影を象徴する2人。
本記事では、Arcaeaのストーリーを要約&考察を交えていくよ。初回では、物語の序章部分について解説していこう。
汝、彼女らを創造せよ。
Arcaeaパックのストーリー
本作の物語を追体験するには、基本的に有料楽曲パックの購入が必須。それについての細かい内容は、こちらの記事を参照してね。
記事公開日:2021年4月18日最終更新日:2025年3月24日 「Arcaeaのストーリーって、どんどん進めるべきなの?」。本作にはいくつかモードがあり、文字通りStoryは物語を読み進むためのもの。[…]
ただし、本記事で紹介するArcaeaパックに該当する序章部分は、全プレイヤーが読める無料の範囲にあるので、誰でも閲覧可能。
まずはこの物語の導入には、一体何があるのか簡単に説明していこう。
曲の解禁を済ませる
先に下準備…と言いたいところだけど、特段不要だった。タイルの解禁条件に楽曲の指定があったけど、全部PASTでOK。
いちばん簡単な難易度の譜面だったら、最初からプレイできるので大丈夫。パートナーは誰を使っても問題なし。
https://arcaea.lowiro.com/ja
0-1
――そして、少女たちが眠りについてからも、
……
物語とは果たして、止むことはない。
綴じられ、終わりを告げる、数多の物語がある一方で、
綴られ、語り継がれていく、また数多の物語がこの世にはある。
けれど人知れず、確かに継がれていく、ちいさな、ちいさな物語もあって。
それらは語られることも、知られることもなく、ただ、継がれていくのだ。
すべてが、何かの記憶となって。
記憶とは平等だ。分け隔てないものだ。
たとえ1人の心だろうとも、多くの人の心であろうとも、
ただの一瞬のやりとりだって、焼き付いてしまえば永久に燻る。
汚れなき追憶のまま、ずっとずっと、残っていく。
そう、記憶は遺る。
どれだけ無害でも、どれだけ悲惨でも。
どれだけ味気なくとも、どれだけ素晴らしくても。
そう、たとえ記録に記されることがないとしても。
仮に、誰の脳髄にも遺ることなく、忘らるるモノがあるとしたら。
行き着く先はきっと、エーテルの海原……ただ、その中でほどけて融けるだけ。
でも、こうも思うかもしれない。
「忘れ去られるものに、価値なんてあるのだろうか」と。
きっとそれもまた、正しい問いなのだろう。
そもそも、わたしたちはなぜ憶えているのだろうか?
かの挫折の冷たさを、この嘆きの深さを……そして甘やかで暖かな、その感触を。
それでもそれもまた、正しい問いなのだろう。
誰かに問われるならば、その答えはきっと価値あるはずだから。
けれど時間は有限で、流れるまま。どれだけ問おうとも、止まることを知らない。
そうして、『書庫』は肥大する、拡大する。
誰かが問うたびに、誰かが想うたびに、考えを巡らせる度に。
ひとえに流れ続けるまま、止むことはない。
永久に、永久に……。
けれど、どこかで、あるときから。
その『書庫(アーカイブ)』は糸を手繰り始めた。
とある宿命の糸を、2本だけ。
それらは燦々と輝く、色なき理想と、汚れなき追憶。
絡み合い惹かれ合う――光と闇を抱えた、2つの命が紡ぐ糸。
https://wikiwiki.jp/arcaea/ストーリー/Main Story/Arcaea
物語というものは終わるものもあれば、続けて語り継がれていくものもある。記憶という形で。
記憶はどんな内容であれ人間の脳に焼き付くが、仮に忘れられたものがあれば海に溶ける。
ただ我らにはその中の、挫折の冷たさ・嘆きの深さなどを覚えている。それは誰かに想われる度に、永遠と流れ”書庫”が拡大していく。
ただある時、その”書庫”がたった2本の糸を動かし始めた。そこには、光と闇が存在していた。

物語冒頭と言うだけあり、第三者視点での回想シーン。Arcaeaを巡る物語は、どんな内容であれ誰かの記憶に残る。
この記憶達は海の中に消えるものもあるけど、決して無価値というわけじゃなく、”書庫”へずっと蓄積されている模様。
なんというか、たくさん生まれた記憶をしまっておく場所が、どんどん大きくなるみたいだ。
ただこの”書庫”は、主人公2人の記憶から何かを掴んだらしく、ここから新しい物語を紡いでいく創造主となった感じかな?

0-2
喫茶店にて、ゆるやかに肘をつく少女がひとり。
営業時間前だというのに、ただ静かに佇んでいる。
すぐ傍らの窓を曇らせていく、カップからのびあがる湯気。
そうそれは、まだ寒い朝のこと――『――対象を捕捉』
男はひとり、剣を抜いた。
眼前では街々が燃えている。背後では略奪者らが嗤っている。
向けられた卑しい笑みと眼球の全てが、男と灼ける街に向いていた。
翻り、一気呵成に斬りかかりながら、男はただ己の死を知っていた――『――対象を格納』
犬耳、猫耳、よりどりみどり。あふれる笑顔と、割れるような大歓声。
様々な種族が集まる輪の只中には、『霊素学』を専攻しているらしい学徒の姿。
火と光を組み合わせた高度な術式で、愛すべき友人の愚行を上映してい『――対象を結晶化』
――数百か、数千か。結晶化されてゆくその規模は、おおよそわからない。
数千もの硝片、結晶化された思考や記憶。
それらは絶えることなく、沈まない太陽の下を潜り抜けていく。
まるできらめく風のように、まるで千々切れたせせらぎのように、
ただ、はるか宙空にて浮遊しては、静止してを繰り返す。
いつかあった、誰かの考えや想い出……その結晶たちが編み上げる流れは、
おおよそ想像のつかない法則によって形作られているように見える。
……本当はそんなモノはなく、ただ流されているだけなのかもしれない。
硝片の動きはそれぞれだ。流されるままのもの、止まったままのもの。
雲のように集まるモノもあれば、ぽつんとひとつ流れるモノもある。
流れるとも、流れずとも、硝片が存在するという事実だけが、
この世界という異質を多く語っていた……言葉はなく、けれど雄弁に。
雲だけが浮かぶ、この太陽のない昼の空では、
けれど照りつける陽光の強さに、雲の形さえ良く見えない。
そもそも地上には、雲の影さえ映らない……見えるのはただ目が眩むような、強い光。
それは笑顔の本来の姿、威圧的なほほえみのようで……。
対する地上は、まばらに占める、なにもない荒野ばかりが見える。
そしてまばらに突き立つばかりの、数え切れない建築物や構造物も見える。
荒野なのか、建造物の群生地なのか、
まばらさの度合いは、どうやら同じくらいだった。
それにしても、色なきモニュメントに、色なき荒野。
あれらはなぜ今日まで残り、まだここに立つのだろう。
……それは、『記憶』がどうしても、場所に縛られるからだろうか。
たとえばあなたが、いつか咳き込むほど泣いたとき。
たとえばあなたが、あの手の感触を知ったとき。
その場所ではきっと、あなたが過去に追いつかれてしまうように。
けれどこの場所は違うのだろう、たとえあなたがそうだとしても。
天高き無骨な塔も、はるかな壁たちも、きっとただの記念碑や遺物ではない。
そこに詩的な意味などなく、ただ意味だけがあって、けれど崇高な意義はない。
ただ単純に存在して、誰かの感情や感傷、思考の肥やしでさえあればいいのだ。
https://wikiwiki.jp/arcaea/ストーリー/Main Story/Arcaea
とある喫茶店にいた少女の記憶が補足され、ある街にいた剣を携えた男は死を前にした記憶を、何者かに格納される。
また別の世界には、術式を使った学徒が何かを上映している記憶を、誰かに結晶化される。出来上がった記憶達は、あまりにも数が多い。
これらは硝片という形こそあるが、実態のないモノかも。流れたり止まったりするが、そもそもこれらが存在する世界が異質そのもの。
色が無い硝片たちは、記憶というものに縛られるから、存在するだけで誰かの感情などを揺さぶる材料になるような。

”書庫”に集まった記憶達は、細かいピースに形を変えつつ世界が異質だという事実を、我々プレイヤーに見せつけている模様。
その異質さは、上を見上げれば何か含みのある強烈な光。下を見下ろせばモノクロの光景が広がるという、おかしな世界を表現してるね。
無論、強烈な光は光ちゃんで、白黒の風景を作っているのは対立ちゃんということになるだろう。前にたぐられた糸が見せるもの?
この部分を見るために楽曲「Grimheart」をクリアするんだけど、ジャケットが上下白黒になってるんだよね。ここを暗喩している感じか。
0-3
それはもう一つの物語、とある2人の物語。つまり、どう生きるかの物語。
だって生涯というものに指針はない。ただ、生きていくことだけが明らかだから。
幸多く、きらびやかな生を負う者もいれば、
惨く凄惨に悍ましい生を直視する者もいる。
けれど、同じ世界に生きている。
はたして、あなたは感じたことがあるだろうか、
あまりに美しいモノをみて、思わず泣きそうになったことが。
けれど、あなたは味わったことがあるだろう、
不均衡に不平等に、理不尽に過ぎゆくあらゆる物事への嘆きを。
目覚めたとき、あなたは何も感じないのだろうか。
それとも、生きているだけで満ち足りているのだろうか。
そもそも、世界はあなたを一度でも満たし得ただろうか?
『幸せを求める』ということ。
そこに何一つ、恥ずべきところはない。
空に浮かぶ、数多の硝子――記憶の欠片は惹かれていく、
願いにあふれた2人の少女……あなたへと。
そう、喜ばしい記憶も、悍ましい記憶も。
――かくして、物語は綴られる。
けれど、紡がれる糸は未だ見えない。綴られる結末は、まだ未知数。
天から降り注ぐ光は、あなたをも包み込む反射光。
きらめいて見える無数の光景は、ひとつひとつが世界のかたち。
全ては可能性ではなく、けれどすでに起こり得た、たしかなこと。
立って、眺めて――問うのはきっと、それからでいい。
つまり、ここから何を選び――どう生きるか?と。
響く、響く。
始めに、なにかが弾き出された音。
それから、ずっとずっと鳴り響いていく音がした。
それは全てを突き抜けて、全てを超越して、
――そして、少女たちが眠りについてからも、
まだ、音は響く。
こうして少女たちは眠る……静かに、穏やかに。
1人は崩れた壁により掛かるように、1人はある瓦礫の塔に身を預けて。
少女たちは眠る……けれどもう、世界は動いていた。
白の少女は、崩れた壁から垂れる影のなかで、微睡みながら、
黒の少女は、融かすように射す、暖かな光に朦朧としながら、
そして、少女たちは目を覚ます――。
……
知っていただろうか、この記憶……光と闇の物語を。
はじめは感情の種から始まった。
やがて記憶に触れて育っていった。
二人とも記憶に愛されながら、絶望しながら。
けれど、止むことなく進んでいった。それはまるで、時間のように。
そして呪われた少女と、そして祝われた少女。
2つの運命は絡み合い、紡がれていく。
――そして、双眸は開く。
あとはそう、忘却の彼方に消えるだけ。
そう。……そうならなかった、全てが。
https://wikiwiki.jp/arcaea/ストーリー/Main Story/Arcaea
幸せな人もいれば、不幸せな人生を送る人もいる。でも共に、同じ世界に生きる者同士。
これまでに生まれた硝片に詰まった記憶たちは、とある願いを持った2人の少女やあなたに惹かれていく。良いことも悪いことも。
白い少女は崩れた壁に身を預け、黒い少女は瓦礫の塔に寄りかかる。ここで眠っていた2人は、何の因果を持ってか目を覚まし始めた。
呪われ、祝われた運命の糸は互いに絡み合い、とうとう物語が始まっていくのだ。

名前ははっきりしないものの、とうとう主人公2人組がはっきり登場したところ。今までどことも知れない場所で、なにやら眠っていた。
いや、もしかしたら気を失っていたのかもしれない。途中で幸せを求めることに言及しているから、おそらく彼女たちもそうなんだろう。
お互いが理想とする幸せを追求した結果、何かがあったんだろうけど現時点では全くわからない。眠っていた理由がはっきりすれば…。
ともかく、おそらく満身創痍の可能性がある光ちゃんと対立ちゃんが、ようやく目を覚ましたのでここで序章は終了というね。

スチルイラストが付いてたのでそれを見たら、花が咲き乱れる場所で光ちゃんが目を閉じて横になってたんだよ。
可能性としては、さっきの”書庫”での記憶の動きというのは、光ちゃんの頭の中を指しているパターンもありそうだ。
もしそれがそうならば、光ちゃんこそこの物語の創造主になるね。彼女が記憶の硝片を無意識に紡いでいたのか?
おさらい
改めて全体をまとめ直すと、記憶はいろんな形を持っていて、忘れられると消えちゃうよね。でもとある場所に繋ぎ止められてる。
そこから見える風景は、本作の主人公である光ちゃんと対立ちゃんを象徴し、彼女らの記憶もまたそれに大きく影響している。
そして何かの要因があって、今まで眠っていた2人がとうとう目を覚まし、これから先の話を進めていくために行動を起こす…。
序章だけだとなかなか難解。

得られる情報が少ないので、まぁしょうがない。ただ本編を読み進めれば、更に想像の補完ができると思うので、先に行こう。
今回はここまで。次回は有料楽曲パック”Eternal Core”の前半ストーリーを追っていこう。しばらくは光ちゃん視点でのお話だ。
記事公開日:2021年4月24日最終更新日:2025年3月25日 「先に動き出したのは光ちゃんだった」。本作Arcaeaには、非常に長いストーリーが付随している、主人公2人の群像劇。 […]