記事公開日:2021年2月8日
最終更新日:2025年10月21日
「夢物語などではない、ある少女の一幕を統べる」。目が覚めたときに、一瞬リアルすぎる感触を感じて夢と感じない、そんな女の子。
今回はArcaeaのアーカイブストーリーである”Astral Sea”を要約していこう。ここで新登場するのは、ノースリーブ巫女姿の”奈実”だ。
Arcaeaストーリー Astral Sea
前回は物語第二部のサイドストーリーとして実装された、”Sunset Radiance”を読んだ。朗らかな雰囲気を持つ”叶永”を中心とした、小さくても誰かを手助けしたい。
そんな願いを込めて、短い旅路を経た話だったね。直接助けを必要としている人には会えなかったものの、自分の力を分けてあげることができたという。
記事公開日:2021年2月21日最終更新日:2025年10月16日 「寒く白い世界から一転して、暖かい火がある夜の世界にたどり着いたこの安心感…」。そう、ギリギリの状況で強く光る記憶の硝片を手にした彼女。す[…]
今回はもっとさっぱり読める、アーカイブストーリーから登場する”奈実”の物語。名無しのキャラからプレイアブルパートナーに格上げされ、後にストーリーが追加。
彼女も彼女で、すごく明るく楽しそうなイメージを随所に放つ、見た目は可愛い癒し枠。そんな娘が、Arcaea世界にやってきた後にすることはなんだろう?
暖かい海を越えて


https://arcaea.lowiro.com/ja
第二部第一章の下側に位置し、全4話のショートストーリー。読むためには楽曲「To the Milky Way」の購入が必須。解禁時に”奈実”をパートナーにする必要はなし。
14-1
奈実は、夢のように非現実な景色を一望する場所に立っている。白く広がる花畑や巨大な渓谷、空に浮かぶガラス片──こうした光景は一見奇跡のようだが、自然の法則や記憶として説明できる要素もあり、「夢みたいで夢じゃない」不思議さに心を奪われる。
空に漂うガラスの欠片は誰かの記憶や風景を映し出し、奈実はそれがこの世界「Arcaea」の一部だと感じる。
その不思議さに興奮した奈実は、「明晰夢かも」「夢の中なら空だって飛べるはず」と一瞬大胆になり、崖際で羽ばたこうとする。しかしすぐに冷静になり、自分はそんな突飛なことをするタイプではないと照れたり躊躇したりする。高揚と恐怖が混ざり合い、落下の感覚がリアルに残ることに戸惑いつつも、好奇心は勝る。
結局、奈実は無茶はせずに周囲を慎重に探検し、崖から安全に降りられる道を見つけてゆっくりと下りていく。初めての「明晰夢」めいた体験に心を弾ませつつも、自分を抑えて行動する──そんな等身大の反応を見せる導入部だった。
Arcaea世界に目覚めた”奈実”は、白い崖の上であたりを見回す。目に映る全てが奇跡で夢みたいで、飛んでみようと考えたがさすがに危ないので一旦落ち着く。
確かに人間であれば、試しに自分の力だけで飛んでみたいと思うこともわかる。ちなみに、地の文だと”奈実”は女子高生だと明言されているようだ。見た目通りだがびっくり。この世界にもJKの概念はある。


14-2
奈実は「自分の認識がはっきりしているなら無意識の世界も探検できるはず」と考え、崖下へ下りていく。道のあちこちには硝片(記憶のかけら)が漂い、近づくとそれぞれ異様な光景を映す。
ローブの人々が煙を操る場面や、色が反転した渓谷、双角を持つ者が渦を監視する光景など、どれも非現実的で魅力的だが、硝片は触らせてはくれない。奈実は興味をそそられつつも先へ進む。
彼女は自分の育った山岳地帯を思い出しながら手をついて降りる。崖の岩質について地学的な思考が浮かぶが、結局「よくわからない」と笑って先を急ぐ。硝片たちは道案内のようにまとまって動き、奈実を誘導する。
やがてそれらが壁面へと消え、洞窟の入口が現れる。胸が高鳴った奈実は躊躇なく飛び込み、硝片と一緒に走ると、広大な吹き抜けのある内部空間に出る。そこには、さらに驚くべき「奇跡」が待っていた。
とりあえず崖の下へ降りた彼女は、周囲に浮かぶ記憶の硝片に興味をそそられつつも歩く。この硝片には、かつてプレイヤーが見た別のキャラ達(レーテー等)が映っている。
また岩を見るとかつて学んだ地学を思い浮かべるが、結局良く分からないと考えていると、洞窟が見えた。とりあえず入ってみると、ある空間と共に何かと出会う。


14-3
「世界は自分の認識から生まれるかもしれない」という命題を手がかりに、奈実は巨大な「記憶庫」──概念の書庫のような場所に足を踏み入れる。そこは単なる洞窟や図書館を越えた、あらゆる「概念」が収集・分類され、硝片(記憶のかけら)が光を放ちながら螺旋を描いて流れる空間だった。
床はガラスではなく人工的に敷かれた石畳で、建築と自然が融け合った異形の山の内部のように見える。鮮やかな硝片が奈実に寄り添い、肌に温もりを与え、彼女の心を満たしていく。
歩みを進めると、壁面から一枚の硝子片が舞い降りて手のひらに収まる。中には波や水が煌めく小世界が映っており、奈実は直感的に「行ってみたい」と願う。硝子片はその願いに応えるように共鳴し、奈実とArcaeaの世界が相互に受け入れ合う。
夢のようで夢でない、この場所は彼女の意思や想像を元に現実を編み出す装置のように機能していることが示され、「概念が形になる」不思議な確信と期待感で包まれる。
“奈実”が見たのは巨大な記憶庫だった。様々な概念が記憶の硝片として生まれている。その中を歩いていると、一つの欠片が彼女の元へやってきて、美しい世界の光景を見せた。
もしかしたらここは、メインストーリー第一部のプロローグで説明された場所と同じなのかもしれないね。他にもここだけじゃないのかもしれないが、記憶の硝片を生み出す大事な場所の一つと言えるようだ。


14-4
奈実は記憶庫の中で、ふと別の誰かの“想い出”へ深く飛び込む。そこは沈む夕陽に染まる橙色の海で、冷たい水と暖かな潮流が混じる、不思議に心地よい場所だ。海中では呼吸の不自由さも感じず、彼女の意識はこの記憶の持ち主の感覚で満たされる。
小さな女の子と手を取り合い、波間に揺れる光を眺める幸福そのものが再現されていた。
奈実は最初、これは自分の夢ではないかと驚くが、すぐに気づく。抱いている感情や風景は自身のものではなく、「誰かの記憶」であるという事実に。しかしその認識は不快ではなく、むしろ風景の温かさを際立たせるだけだった。海面に反射する光、魚たちの色、寄り添う手のぬくもり──どれもが愛おしく、彼女はただその時間が終わるまで隣の子と手をつないでいたいと願う。
やがて奈実は、この記憶を見せてくれるArcaeaという場の意味を理解する。ここには数え切れないほどの「想い出」が眠り、誰かに見られることを待っているのだという直感が湧く。自分が見ているのは一つの断片だが、その断片は誰かの人生や幸福の証でもある。だからこそ、そこにいることは無意味ではない──むしろ価値があると感じる。
結末で奈実は、記憶の海に浮かぶ温かさと満たされる感覚に身を委ねる決意をする。「ここでなら、ずっと過ごせる」と呟き、別人の幸福に浸りながら長い時間を過ごすことを受け入れる。
一つ前の話で、寄ってきた記憶の硝片の世界に飛び込んだ”奈実”。広がるのは夕日色の海原で、水と潮流を感じる暖かい場所。海中に進むと、彼女がよく知るもう一人の女の子が付いて一緒に泳ぎ始めた。
きっとこの女の子の記憶そのものなんだろうと直感した”奈実”は、この海が見せる光景の気持ちよさに愛おしさを見出した。その後、先ほどの記憶庫へ戻った彼女はこう思う。
ここにはほかにも、誰かに見られる願いを持った記憶がたくさんあり、幸福やその人の人生を表している。ならば、それを私自身も一緒に分かち合いたいと。
誰かの記憶を傍観し、共有することで嬉しさを見出したんだね。確かにそういうの、我々普通の人間にも備えてある一つの感情の種類や思いだ、と言うことでもあるから。


誰かの幸福は自分の幸福にも
これで”奈実”が主人公になる”Astral Sea”の物語はおしまい。優しくて元気そうな、彼女らしい明るい話で締めくくられたストーリー。
他人の幸福は伝播し、また誰かを嬉しくさせる。きっと”奈実”も、楽しい誰かの記憶を覗いたことによりその感情を一緒に持てたと言うことが大きい。
喜びの感情は連鎖するのだ。


今回はここまで。次も別のアーカイブストーリーである”Colorful Dream”を読んでいこう。こっちも別のオリジナルキャラがちゃんと登場するよ。お楽しみに。
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