記事公開日:2021年6月30日
最終更新日:2025年9月29日
「自分にとって大事なものは何かを知る少女の姿」。”白姫”は、見た目だけで中身は決して高貴な存在ではなかったはず。
そこに気づいた本人は、本当に欲しいものが人のぬくもりであるのではないかと、一つの考えを巡らせ始めた。
今回はサイドストーリーの一つである”Divided Heart”の後半部を読むよ。ここで”白姫”は、ある人物との邂逅を果たすのだが…?
Arcaeaストーリー Divided Heart②
前回はこの”Divided Heart”の前半を読んだんだけど、白姫の立ち振る舞いを見てきた。
ぱっと見はある意味痛々しい自分が貴族然とした存在であり、それに違わぬ行動を繰り返してきたがどうも思っていたものと違うことが多い模様である。
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さてその続きであるこっちでは、自分は特別だと思いながらもある記憶を覗き込んだことにより、色々と気づかされたことが増えたんだよね。違う、そうじゃないと。
その後の白姫は、愚かだった己に対してある種の嫌悪感を感じつつ、相変わらずこの世界や自分が存在する意味を再び探し始めるよ。
ここである人物が目の前に現れる。
出会いとこれから


https://arcaea.lowiro.com/ja
マップ上のルートでは他のストーリーと変わらず、分岐のない一本道。一番最後にはイベントCGあり。ただし話の関係上、後半を読むためには有料楽曲パック”Crimson Solace”の購入が必須なのである。
S-4
白姫の勢いは次第に萎え、あの森での穏やかな記憶に浸るだけで、以前の熱意がすり減っていった。城も家もなく、見つかるのは忘れられた思い出ばかり──この道に意味も終わりも見出せないという虚無感に囚われる。
やがて彼女は疲れ果て、声を漏らし、目を細めて空を見上げる。自分がどんな高貴な出自であれ人間である以上、ずっと強くあり続けられないことを思い知り、抑えきれず涙を流す。
そのとき、不可視の陽光が溶け、暗い帳が空を覆い始める。白姫が不思議に思って見上げると、裂けた空を大きな彗星が断ち割って落ちてくる光景が現れる。彗星は長い時間をかけて落下し、白砂を巻き上げ、風に髪を乱しながら目の前の椅子の山に激しく着地する。
そこから現れたのは、紅い髪と大きな笑顔を持つ少女――彼女こそ空から落ちてきた「紅(コウ)」だった。白姫の虚ろな時間は、突如としてこの紅い来訪者によって破られ、物語は新たな局面へ進み始める。
あの時見た妹との記憶を見てから、白姫の勢いは弱まった。大事なものが何かに気づきながらも、まだ虚構を探す道の意味が分からなくなってきたから。だからもう疲れたし、泣きたくなってくる。
なんて時に、空を見上げると星が目の前に落ちてきた、そこにいたのは、”紅”という少女。サイドストーリーの別主人公同士が、ここで出会うというまさかの展開に。


S-5
紅の少女(紅・コウ)が空から勢いよく落ちてきて、白姫の静かな沈滞が一気に破られる場面。紅は無邪気に抱きつき、白姫をぺちぺち触りながら「本物だ!」と大はしゃぎ。名前が思い出せずあれこれ試すが結局見つからない。
白姫は現実を確認して必死に「私、現実よ!」と訂正する一方、紅は夜になっていることに気づかせるなど鈍感に見えて要所を押さえる。
二人は互いに記憶を見ることができると知り、紅が軽い魔力で物を浮かせて見せる。紅の力で家具がふわりと宙に舞い、白姫は驚くが自分は「人間だから」と飛べないことを主張する。試行錯誤の末、紅の力で白姫を運ぶ実験は成功したが、白姫自身が魔法を習得することはできなかった。
互いの違いを確かめ合いながら、周囲に同じように迷い込んだ者がいるだろうと推測する。宿命や定めに縛られることなく、二人は離れゆく陽光を追うことに決める。偶然の出会いから生まれた連帯感を抱き、紅の無邪気さと白姫の慎重さが噛み合って、共に歩き始める。
紅も生身の人間に出会えた喜びを全面に出し、目の前にいる白姫が現実のものかどうかを確認する。あれこれ会話をするうちに、二人とも記憶の硝片を覗けることが分かった。
更に紅は自身の魔力を白姫に見せ、同じことができるかチェックしたけど難しいようだ。そうして二人は手を取り合い、新たな歩みを始めるという場面。なんかほっこりするね。


S-6
紅と白姫は長い旅を共にし、いつしか互いの存在が当たり前になっていた。廃墟を抜け、ついにたどり着いたのは「朝と夜の境目」――陽光と夜の星が同居する、言葉を失うほどの絶景だった。二人はそこで黙って景色を味わい、これまでの歩みを静かに受け止める。
やがてこれからの話になる。紅は太陽の下へ戻り、夜を見上げて飛び立とうとする一方、白姫は境目に沿って誰かを探し続ける道を選ぶ。別れの言葉は少なくても互いに「また会える」と約束し、笑顔で送り出す。その場面は、かつて白姫が夢見た「高貴な王国」の幻想が消えつつある瞬間だ。
もう形式的な王位や城よりも、側にいる誰かの存在――寄り添う絆や温もり――が彼女にとっての現実と価値になっていた。
物語は、王冠や錫杖が示す「高貴さ」は血統ではなく、人を惹きつける内面の輝きにほかならないと語って閉じられる。白姫は本来の出自がどうであれ弱さや迷いを抱えながらも、誰かのために灯りをともせる「君主としての輝き」を持っている──そう確信しつつ、新たな道へと一歩を踏み出す結末だ。
あれから2人は長い時間をかけて旅をし、お互いが当たり前になる。そしてついた場所は、朝と夜の境目が混在するところ。この絶景を目に焼き付け、今までの感傷に浸る2人。
さて紅と白姫は互いの目的のため、ここで別れる。が、白姫にとっては薄々気づいてた人のぬくもりの大事さが本当に理解できたようだ。そして次の道へ進んでいく。
紅ちゃんが出てきたことにより、物語が明るくなり大切なものに気づけたというのは白姫ちゃんにとって最大の僥倖だったかな。


おめでとう白姫ちゃん
最初は自分の姿のみで、全てを判断してしまっていた彼女。しかし、別のキャラとの触れ合いを経てそんなものは意味が無いと本質に気づいた。これからの白姫は、自分に必要なものを見失わずに存在意義や、この世界の心理について自分自身で探求していく。
頑張れ、白姫ちゃん。


今回はここまで。これで”Divided Heart”の物語はおしまい。次のサイドストーリーは”Esoteric Order”にチェンジしていこう。
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