記事公開日:2021年5月15日
最終更新日:2025年4月2日
「対話を挟んで仲良くなれそうかと思ったら…」。とある廃墟で顔を合わせた2人は、微妙な雰囲気に包まれるこの気まずさ。
特に対立ちゃんは難しそうだ。
さて今回は、Arcaeaの有料パック”Adverse Prelude”が担当する、物語の後半を読んでいく。
第一章第一部はここでおしまい。
Arcaeaストーリー Adverse Prelude②
前回は二人が出会った後、色々話をしてきた。それまでそれぞれが体験した、硝片をめぐる一人旅の顛末やその後など。
光ちゃんは無意識による傲慢な自分、対立ちゃんは負の感情に苛まれてすべてを破壊してしまったその罪を懺悔する。
記事公開日:2021年5月12日最終更新日:2025年3月31日 「2人による不都合な前奏曲とは、どんな音色を奏でる?」。喜びに祝福されすぎた少女と、破壊に身を委ねてしまった少女という組み合わせ。&[…]
特に対立ちゃんは、自分の間違いに気づいた光ちゃんから言葉による手助けを受けるが、なぜだかどうも手を取れない。
するとある硝片が、2人の目に留まる。そこに映し出されたのは、誰一人知らない”未来”の記憶だった。という感じ。
この後、2人が辿る道とは?
その光景で取る道が変わる
https://arcaea.lowiro.com/ja
本記事ではV-3とV-4を見ていく。マップ上では一番右にある部分で、一本道だから迷わない。
ここでとある事実が分かってしまう。
V-3
離れ立つ二人。
対立はその胸を手で、指が食い込むほどに抑えつけながら、重く息を吐いて苦しんでいる。
彼女の心がまた芽吹いたのだ、白の彼女の無視できない言葉によって。
未だ続く、白くて先の見えないこの地獄にある唯一の道が、終わりであるはずはないと。
自身にとって大切な、最後の勇気を光がくれたから。
息を吐くにつれて、まだ弱々しくはあるものの、素直に咲くような笑みがその顔を彩っていく。
「やってやりましょう、何かを」と、静寂を裂いた。
「この馬鹿げた、くだらない世界を解き明かすの」
「そ、そんなに馬鹿げてないよ?」
柔らかくも芯のある微笑みを浮かべながら、光はやんわりと宥めた。
光にとって、まだ黒の彼女についてわからないことも多いが、それでも確かなことが一つだけ。
近寄りがたいその相貌に反して、彼女は悪虐ではないということだ。
むしろ真逆のようにさえ――それどころか、
むしろそれだけで新たな旅の友として手を取る理由たり得るとさえ思えた。
……そもそも、自分のことさえ『善人』だなんて、表現することは出来はしないのだから。
しかしそう思う傍らで、対立の雰囲気が変わった。
「どういうことかしら?」と息を整えながら尋ねてくる。口調はむしろ詰問や追求のようだ。
そしてその双眸は虚無のようで、もう一方の少女へと射抜くように向けられていた。
「私よりもあなたのほうがむしろそれをよく知っていると思うのだけど?
ここが女の子を、自らを歓喜や愉悦で包み込むその厚かましさゆえに、
挙げ句、破滅させるような場所だって」
やがて背筋を伸ばし、息を落ち着かせると、その瞳でキッと相手を見据えながら、
胸元へと手を伸ばして日傘の柄を掴んだ。
「そんなことが有っていいはずがない、それでも違うというの?」
黒い彼女の強い信念がもう一方の少女を言い伏せ、刹那の沈黙が辺りに満ちた。
……しかし光は、もう優しさを示せないかつての自分とは違う。
ちっぽけな自信をかき集めると、しっかりと立って、自分の解釈を説き始めた。
「わたしたちは、まだ生きてる」彼女は告げる。
「もし世界がそれを赦すのなら、そんなにこの世界も悪いものではないと思うの」
「はあ……?」もう一方の少女の目つきが鋭くなる。
「違うわね……もし世界が生命を赦してもなお、
嘆きと害意で生命を冒すのなら、そんな世界は正しくないわ……」
「え、えっと、正しくないかもしれない、けどっ……」
「けど?」――即座に対立は詰問の矛先を向けた。
「けどそれじゃ、余りに短絡的だと思うの!
それなら、あなたはどうしたいの?……教えてよ!」
「全てを破壊すればいいのよ――世界を、硝片を、余さずすべて。
やり方なら見つけるわ。フェアでいいでしょう?」
アタリマエのことを言うように、彼女は答える。
「あなたにも共感できるところはあると思うのだけれど。
この世界はあなたにとって、ただの拡張性のある牢獄にすぎないでしょう?」
「は、破壊する……? そんな……そんな事できても、それは全てを終わらせるだけじゃない!
この世界だけがわたしたちにとって確かな世界じゃないの?
なんとか壊せても、それはわたしたちを壊すこととどう違うの?あなたはここで生きるより、
……し、死んだほうがマシだっていうの?そんなの……それこそ馬鹿げてる!」
回答は、シンプルだった――「ええ、それでいいのよ」
光は、そんな答えを予期していなかったのか、思わず口を噤んでしまった。
対立の言葉があまりに怖ろしく、なによりも悲しすぎたのだ。
白の彼女が沈黙を返すなかで、対立は尋問を続けていく。
「それで――あなたにはなにかあるの? それ以外の計画が?」
「ううん、ないわ……わたしはただあなたとこれから、いっしょに道を探したかったの」
そう、白の少女は認めながら、自らの狼狽をその声色に露わにした。
そして対立はといえば、一息ついたところでその回答を理解して、思わずその動きを止めた。
新たな友人に暴言をぶつけるのは容易すぎるほどで、自身が論理的でなかったのは明らかだ。
今、再び芽生えた希望を胸に振り返ってみれば、
自身がこの邂逅までどれだけ冷徹だったかもまた明らかだった。
そして今、誰かの持つ新しい希望を見て、咄嗟に叩き潰しさえして。
もともと、そんなに私は狭量だっただろうか?
今までだって、自分の狷介な姿勢が平穏や充足をもたらしたことはない。
状況の解決なんて、有り得なかった。
――ああそうだ。この強情さはいつだって、
私自身を暗く、暗澹とした茨の道へと貶めていくだけだった。
その事実を直視して、少女はまだ心中で沸る炎を消した。
燃やし続ける必要があると心から信じていた、苛烈な炎を。
その手を取ろうと思うなら……少女の考えを拒むことなどできはしなかった。
「ご……ごめんなさい」
思えば、謝罪していた。もう、激情は全て手放したようだ。
「わ、私も同じ。新しい可能性、私も、見つけに行きたいわ」
少女は少しの間だけ下げると、そう告げた。
それを聞いて光は、対立の前で息を潜めていた自信を少しだけ取り戻したらしかった。
自身の新しい友へと、白の彼女は言葉をかけた。
「大丈夫だよ。きっとあなたはわたしには理解もできないような出来事を、
ここで乗り越えてきたんだと思うから……」
だが、それで対立の心中で燃える義憤の炎には十分だったようだ。
結局、それが燃えていたのはあくまで刹那の間だけ。
まるで、閃光のようだった。
――だが、周囲で眠っていたとある硝片を刺激するには十分だったらしい。
――ソレは目覚めると、二人の間へと静かに降りていく。
「諦めないでいこ?」と、光の少女は言う。「きっと、大丈夫だから」
その時、褪せるような色合いに燦めく硝片が、ゆっくりと二人の間に降りてきた。
注視した二人をそのままに、硝片はただ黒を纏った記憶のみを見せるのみ――。
https://wikiwiki.jp/arcaea/%E3%82%B9%E3%83%88%E3%83%BC%E3%83%AA%E3%83%BC/Main%20Story/Adverse%20Prelude
輝きだした硝片から離れた2人。対立は光からの言葉によって、変わらず苦しそうな様子を見せる。そして言葉を出した。
このバカげた世界を解き明かす。そう聞いた光は、そうじゃないと否定する。彼女には、目の前の黒い少女が悪い人に見えなかった。
しかし対立は言う。あなたこそ、この世界が自らの体験によってよっぽど死に追いやるような場所だと、わかっているはずだ。
そんなこと、あっていいはずがない。

更に光は言葉を重ねる。自分たちが生きているなら、ここは悪い世界じゃないと思う、と。だが対立はどうも納得できていない。
彼女は苛まれた黒い感情をもって、生命に危害が及ぶのはおかしいと続ける。なおも光は反論を起こしたが、対立には届かない。
この世界をもろとも破壊すべき。という態度を全く変えるつもりがなく、相対する彼女の言葉を何も聞く気が無い。

しかし光はそれでも、あなたと共にいられる道を探したいと発したところ、落ち着いた対立は改めて、自分の狭量さを少し後悔する。
考えてみれば、黒い衝動とともに行った行為こそ、己を貶めることにつながっていたんだ。その事実を直視した対立は、光に謝罪した。
一瞬激情が消えたものの、それまで対立の怒りに作用された硝片が、真っ黒な記憶を纏い2人の前に降り立ったのは一体…。

どうやら対立ちゃんは、光ちゃんからの言葉がどうも耳障りにしか聞こえていない模様。収支イライラしているのが…。
これまでの嫌な感情が抑えきれず、世界も含めてすべてがろくでもないと悟ってしまっている彼女も、また被害者なのかも。
けっして意図してやっているわけじゃないのを、光ちゃんはしっかり見抜いているからこそ寄り添おうと言葉を投げかけてるんだね。
やっぱり女神かこの子は。
ただし対立ちゃん自身も、自分がおかしいとわかっている節もあるので、理性はしっかり残っているみたい。良かった。
本当は聞いた言葉通り、手を取り合ってこの世界を究明したい。それは2人の共通認識なので、ぜひ助け合ってほしいんだけど。
しかしこの世界は意地悪で、どうしても仲違いをさせたいという、何かの強い意志が働いているようにしか見えない。なぜだ。
V-4
影に飾られた少女がその壊れた窓の先、別の時間をじっと見る。
やがて、微笑みが戻ってきた。
彼女はなんと愚かだったのか。
白い少女ではない、違う。
彼女だ。
硝片の映す視界は記憶などではない。
当たり前だ、違うに決まっている。
彼女が見ていたのは一つの未来、来ると予測していた通りの未来。
愚かで、蒙昧な空想家の成れ果てだ。
硝片が見せたのは紛う事なく自身の姿。硝片で作られた鋭利な柱で貫かれている。
その傷は彼女の衣服をも焦がし、体は灼け付くような白い炎に呑まれつつあった。
貫かれた黒の彼女の背後には、伸びるように広がる貧弱かつ不毛なアーケアの土壌。
その眼前には、肩の辺りで眩むほどの灼熱が輝く、白くその身を包んだひどく見慣れた少女が、
掲げるようにその手で柱を扱っていた……しかし、死角で表情は窺えない。
それは今、眼前に立つ少女。
遭ったばかりのその彼女。
これは記憶などではなく、来るべき未来の視界。
対立はこれを見て、その心中へと引き返す。
たった今、無視すると決意したばかりの、唯一の真実へと対峙する。
あの決意に意味などなかった。
この世界で、自身にとって善きことを見出すことなどありえない。
最後の希望は黒に染まり、絶望に呑まれ、忘却へと棄てられた。
他に何が起き得たというのだろう?
何のために焦がれていたというのか?
愚かだった、途方もなく。愚かだったのだ。
愚かしい努力。
愚かしい記憶。
愚かしい存在。
愚かで、惨めで、反吐が出る。
こんなことには虫唾が走る、こんな自分には怖気が勝つ。
何よりもこんな果てしなく馬鹿げたオママゴトにはうんざりだ。
奇跡なんて、そんなもの……
自身にそう言い聞かせてきたはずだろう。この世は地獄だと。
そしてこの破綻して死に往く世界を知れば、
天使でさえも明くる日に堕落して、悪魔として覚醒めるだろう。
あの白の少女だってそうに違いない。
この最後の致命的な局面で、ただの胸中の窪みだったものが、穿たれて広げられたのだ。
それは冷徹で底なしの裂け目となり、一瞬で潰れ完全に腐食してしまった。
内なる闇が湧き出で彼女の内から染めていき、思考を絞めつけていく途中、
その姿がはっきりと見えた。
硝片を射抜くように見つめるその視線からは、明らかな恐慌が見て取れた。
あの娘は、何かを知っている。
だから彼女は向こう側に目を向けることもできず、
はっきり見えているのにもかかわらず言葉を発さないのだ。
感じているのは狼狽? それとも動揺? それを臆面もなく?
許せない、許せないわ。
激情は憎悪へと捩れ、嫌悪を撒き散らしながらその双眸へと伝わっていく。
卑劣な裏切り者。悪辣で、不快な場所。
日傘の柄の握りをぎりぎりと強めると、
硝片を通して、直立したままの光を見つめた。
縫い付けられたようにその場に立っている。当然だ、隠していた自身の悪意が露見したのだ。
その無様は嘲笑に値する。
対立のその双眸は細く絞られ、自身の内で芽吹きつつあった感情を切除した。
あの少女が彼女の内で育てようとした、それを。
かくして永久に、少女は虚ろになった。
そうして、為せばならぬことを理解した。
だがいまだ鏡は一方通行で、また自身のその怒りもまた然り。
光も未だ、この奇妙な硝片の中を見通せずにいた。
困惑の中、白の少女は見つめることしかできない。
対立の表情から色という色が増々失われていくことにも気づけぬまま。
なぜかわからぬままに、危機感が募っていく感覚だけが確かにそこにあった。
現に、辺りには影が伸びつつあるようで、光は間もなくそれにより果てつつあった。
暗闇が近くなるにつれ、彼女の息は短く詰められていく。思わず後ずさる。
ほぼ信じられず、また明らかに信じたくもないようだ。
光の天蓋という耐え難い苦難を乗り越えたとしても、
またしても彼女は、理不尽にもなんらかの災禍に晒されようとしている。
だがそれでも、生き残ってきたのだ。
そして、生存のため、妥協を赦さぬ状況であることだけは、確信できた。
心の中に巡るのそんな思考――それこそが、光に致命的な過ちを犯させた。
かつて低迷の中で、
安らぎと道標を与えてくれた硝片の一つに手を伸ばす。
おもむろにそれを胸元へと引き寄せたとき、
対立の項近くの毛髪が逆立つ。
もう悲劇には遭うまいという決意と共に、自身の内で怖気が走る。
警告もなく、一度で彼女の命を摘み取ろうとして、
そして対立は、光との距離を一瞬でゼロにした――。https://wikiwiki.jp/arcaea/%E3%82%B9%E3%83%88%E3%83%BC%E3%83%AA%E3%83%BC/Main%20Story/Adverse%20Prelude
対立がその硝片を見たとき、はっきり分かった。愚かなのは光ではなく、己自身だったのだと。
そこに映る未来は自分が予測していたはずの、鋭利で巨大な硝片で体を貫かれていた私の姿。
眼前に見えるのは、表情こそ見えないが硝片を手で扱う、白き少女。これが私らに来るべき未来だったというのか?
それを認識した対立は、抱いていた最後の希望を黒く染め、再び強い絶望に吞まれてしまう。

自分はなんてみじめな存在なんだ。奇跡を信じた結果がコレか。いや、こうなるのはわかっていたはずなのにしくじった。
白の少女は元々天使みたいだが、この狂った世界に影響されて悪魔に変わるのも無理はない。
そんな当の光は、何やら恐れた様子を見せている。いや、何かを知っているような。そして対立には裏切り者にしか見えなくなった。

憎悪に駆られた対立は、表情から色が抜けていく。一方の光は信じられない、いや信じたくないという表情を浮かべていた。
元々光は一度死にそうな目に遭ってきたのだが、生き残っていた。この世界では、生存のために一切の妥協ができない。
そう感じた対立は、光の命を散らすために動く。

運命というのは残酷なもので、対立ちゃんはある未来を見てしまった。それは光ちゃんの手で、自分が死んでしまうという未来。
こうなった以上、それが真実になるかどうかはわからないが、もう友人としての関係が築けない。なんという悲しすぎる展開なんだろう。
2人が見たものは予測の事実なので、仲良くしたかった光ちゃんの思いとは真逆になってしまった。もちろん、信じたくないのも当然だ。
そうなると、なぜこんな未来が見えたのが気になる。光ちゃんはこれまで、他人の幸せを見ることで自分の満足感を埋めていたよね。
硝片を集めることでそうなっていたのだが、やりすぎた結果却って身を危険にさらした。それから学び、幸せを求めるだけはいけない。
ということが分かったので、ここだけ見ると他人に危害を加える要因が見当たらないのが不思議だ。とすると、原因は他にある?
対立ちゃんは、光ちゃんが何かを知っているという確信を持ったんだけど、そこに要因があるとしか思えないんだよね。
やはり手を取り合えなかった
出会ってから短い時間ではあったが、話をしてきた2人。最初は何らかの弊害があれど、ひとまず仲良くできるのかと思いきや…。
2人の行く末を表した硝片の存在によって、あっさりと関係が壊れてしまった。そしてまさかの光ちゃんが加害者?
あのように映った光ちゃんの真意は、一体何を考えているのか。そして被害者になるかもしれない対立ちゃんは、どう身を守るのか。
まさしくどうしてこうなった。
今回はここまで。以上でメインストーリー第一章第一部が終幕を迎えた。不穏が現実になってしまった終わり方だ。
次回は第一章第二部になる、パック”Black Fate”の領域に入り込んでいきたいと思うよ。続きが気になる…。
記事公開日:2021年5月18日最終更新日:2025年4月2日 「とうとう敵対してしまった2人は、もう分かり合えないのか?」。ある事実に気づいた対立ちゃんは、行動を起こす。自分自身が死なないために。[…]