記事公開日:2021年4月30日
最終更新日:2025年3月27日
「楽しそうな光ちゃんを見ると心が洗われる…」。なんて思ってしまうほど、輝かしい存在感を放つ彼女。
ただ一瞬のほころびが顔を見せるけど。
今回はArcaeaの有料パック”Luminous Sky”を手に入れると読めるようになる、光ちゃんのストーリーを追っていく。
美しい花には何かがある?
Arcaeaストーリー Luminous Sky①
前回は楽曲パック”Eternal Core”の後半部で語られた、対立ちゃんが目覚めたシーンだ。
記事公開日:2021年4月27日最終更新日:2025年3月26日 「影の存在である対立ちゃんは何を思うのか…。」黒き主人公である彼女は、悲哀に満ちた世界を象徴する存在と言える。 今回は[…]
周りが崩れたものだらけの世界で目を覚ました彼女にも、記憶の硝片が周囲を漂っていた。これは光ちゃんの時と同じ。
ただしそこで対立ちゃんが見たものは、誰かの悲しい記憶ばかりで非常に嫌な気分になっていたという。そりゃそうだわ。
そこで見つけた硝片を見てこう決心した。すべてを破壊しつくしてやると。
さて別の楽曲パックである”Luminous Sky”の物語は、一転して光ちゃんにフォーカスが当たる。そこで紡がれる話を見よう。前半戦から。
目に見えるすべてを美しいで固める。
笑顔が光る(はずの)光ちゃん
https://arcaea.lowiro.com/ja
マップとしては、Eternal Coreの続き。上段側から地続きで追える物語で、途中にはリリースから二つ目の隠し楽曲開放が必要。
一応解禁方法は↓の記事で解説してるけど、最低難易度のPASTであれば何も難しいことは無いのでご安心を。やることは変わらない。
記事公開日:2021年4月21日最終更新日:2025年3月13日 「目指せFractureのFTR譜面開放へ…」。Arcaeaの光ちゃんは、ここで大いなる覚醒を遂げたあのシーンは、プレイヤーの目に焼き付いた[…]
1-4
ここは、喜び溢れる地平。
長い間、少女はその美しくも退廃とした世界を歩き、様々なものに触れ、また愛でてきた。
長い間、彼女は硝子を導くように、引き連れて旅してきた。
集まった数々の硝子はすでに、視界すべてを写し返すほどに大きい鏡のようで、
見渡す限りの空を測地線のように覆ってもなお、少女のそばを離れる様子はない。
反射しては歪められ、限りなく遠くまで伸びていく陽光。
天蓋もまた、途切れることなく、幻想的に瞬きながら少女を見守っている。
好ましく、快いものしか見えない今、少女にとっての世界は終わらない幸福に満ちていた。
そして、在りし日は豪邸へと続いただろう螺旋階段を、彼女はゆるやかに降りて行く。
上等な壁も今は昔、全てが記憶片に侵食されたこの場所は、むしろ美しさを増していた。
その眼前に広がる数多の記憶片をかき分けるように飛び出して、
少女は硝片を散らしながら駆けていく。硝片たちがキラキラと光り、
浮かび上がっては、天蓋へと加わるのを眺めて、彼女はうっとりと笑った。
花に、キスに、愛……そして、出生。
流れ行く硝片の大河のなかに現れる、新たな命が生まれゆく光景。
それがまた大いなる流れへと融け往くのを見て、少女はまた喜んだ。
回数を思い起こせないほどに、その光景を見ていたとしても、まだ。
そして彼女は、果てないガラスの天蓋を見つめる。
集まれば集まるほど、それらは鮮やかに育っていく。
満足げに微笑みながら、少女は放浪を続けていく。
――その因果の先に、何一つ関心を払わないままに。
https://wikiwiki.jp/arcaea/%E3%82%B9%E3%83%88%E3%83%BC%E3%83%AA%E3%83%BC/Main%20Story/Luminous%20Sky
長い旅路を経て美しも退廃的な世界を歩いた光は、色々なものを見た。良い思い出のみを映す硝片は、彼女にとっての終わらない幸せ。
綺麗な階段や硝片の大河を進み、相も変わらず快い思い出を見た彼女は喜びが止まらない。その笑顔を抱え、光はまた放浪の旅へ出るのだ。
それ以外には何も関心を向けないまま。

硝片集めの旅を始めた光ちゃんは、道中で様々なモノ(愛や命の誕生など)を見ると、幸せに満ちているようで充実してるね。
気ままに歩いただけで、自分にとって好ましい光景がたくさん映る様子は、穏やかで美しい世界を彩る要素にはピッタリ。
ただどうやら、この後続くであろう衝撃的な出来事が控えているようだが、当の彼女は全く知らない。知らぬが仏が一番いいような…。

1-5
「何事も、過ぎたるものは体に毒だ」――誰もがそう言うだろう。
彼女はきっと知らなかった、もしくは、気にも留めなかったのだ。
かつてコンサートホールだったものの前を、少女が通り過ぎていく。
その建物が誇っただろう、かつての威厳も、雄大さも、
文字通り二つに割られたような有り様では、どれもすべて半減してしまっていた。
まるで、神に等しい力によって為されたようだ。
もはや音の墓場となったそこからまた溢れ出す、舞踏や演奏、希望や勝利の思い出。
退屈さからか、はたまたその他の理由か、ふと彼女の唇が引き攣る。
ゆらりと腕を上げ、引き寄せられてきた硝片をそっと手指で弄ぶと、ぼんやりとそれを観察する。
いったい今まで何度、解散するバンドの演奏を聞いただろう?
いったい今まで何度、離別を超えた兄弟が抱き合うのを見てきた?
彼女は愛を見てきた……あまりにも多く、愛を見てきた。
この古く、忘れ去られた世界で、愛は呆れるほどに当たり前で、ありふれていたのだ。
やがて彼女は特に感慨もなく、その硝片も手放した。
解き放たれた硝片は浮かび上がると、彼女の集めてきた記憶たちと行き先を共にする。
ふと見れば、集めてきた記憶たちはガラスのような天蓋を形造っていた。
収集を始めたときよりもガラスの天蓋はさらに輝かしく大きくなっている。
そしてその輝きは日ごと、更に鮮烈に育っていくようだ……。
いったいどれくらいの月日が経ったのだろう?
思わず顔を顰め、苦悶がありありとその顔に浮かんだ。
……だが、ほどなくして振り払う。
きっとまだ、足りないだけなのだ。
そうすればいつか、この足りないものも見つかる。そう言い聞かせて、彼女はまた歩き始めた。
迷いに耳を貸すこともなく、あとをついてくる硝子片を振り払うこともできずに。
https://wikiwiki.jp/arcaea/%E3%82%B9%E3%83%88%E3%83%BC%E3%83%AA%E3%83%BC/Main%20Story/Luminous%20Sky
大きなホールを彼女が通り過ぎていくが、そこにはかつての威厳や偉大さがあったはず。しかしその魅力も、何かの力で半減している。
そこで見つけた硝片を手に取ると、ふと考えた。今まで何度、ここで大きなエピソードの誕生が繰り返されたのだろう。
この中にはたくさんの”愛”があったが、光は目にする機会が多すぎたので、なんでもない当たり前のものにしか見えなくなってしまった。
本当はもっと見つけたいのに足りない。

かつてのコンサートホールに着いた光ちゃんには、そこで起きたであろう様々なシーンがふと頭に浮かぶがそこには、とあるモノがあった。
それは人間がお互いに抱く感情の”愛”だということが、明確にわかった模様。ただし、これだけでは求めるものが足らない。
つまり彼女は、人からの愛を受けすぎて感覚がマヒしているのかも。普通、多くから愛される人って珍しいからね。
それは幸運でもあり不幸ともいえるのか?
1-ZR
天国とは、地獄の一種だ。
結局のところ、情熱の天敵とは停滞した平和であり、思考の伴わない喜びだ。
摂取という行為自体と、無制限に幸福を伴うものの呑食は感覚を麻痺させ、
しまいには幸福自体を曖昧でぼやけたものにして、究極的には目的を見失わせる。
だが今となっては、目的があるものなど一つもない。
そもそも少女に目的なんてなかっただろうに。
空の天蓋はもはや、目が潰れそうなほどに眩い。
少女はいま、放浪しているのか、立ち尽くしているのかもわからない。
もはやどちらもよくわからないし、そもそも彼女にはどうでもよかった。
編み上げた天蓋だけが、今の少女の唯一の関心事だった。
だが、空に蠢く記憶の群れにはもう、手の施しようがない。
もはや不透明で膨大な濃霧のようなそれは、どうしようもない空虚さをたたえている。
彼女自身が既に、自分を見失いつつあった。
自分自身を見失う傍らで、少女はまだ迫り来る終焉に対して無自覚なままだった。
自覚もないが、この心地よくも息苦しい飼育房を編み上げ、自身を幽閉したのは少女自身だ。
その脳裏には、とっくに憂うという意思すらなかった。
空にきらめく天蓋がさらに輝くたび、少女は少女自身を喪っていく。
もはや幾許も残されていない時の中で、待ちわびるかのように虚空を見上げている。
明るく明らかに、至福で美しき天蓋。
光り輝く想い出が、彼女を塗り潰した。
その精神は、焼き切れた。
そして意味もなく、輝きは減衰していく。
そして意義もなく、時間は過ぎていく。
そうして未だに、少女の瞳は虚無の天蓋を映している。
……こうして、彼女の心は、物語と共に終わった。
https://wikiwiki.jp/arcaea/%E3%82%B9%E3%83%88%E3%83%BC%E3%83%AA%E3%83%BC/Main%20Story/Luminous%20Sky
何も起きない平和では、人間が一切思考しない地獄とも呼べる。享受する幸福をぼやけさせ、最後は目的も失わせる。
とはいえ、今の光には目的なぞ何もない。今まで連れた硝片は、大きなケージとなり彼女を次第に包み込み閉じ込める。
この時光は自分を見失い、虚空を見つめる瞳は白く塗りつぶされ、中にある心はそのまま終わってしまった…。

確かに言われてみれば、平和な世界というのは人間の感覚がある種おかしくなる状態だよね。平和ボケという言葉もあるくらいだし。
穏やかに過ごしすぎる日常は、何も考える必要すらないから人としての生が、ある意味終了してしまっているような感じかな。確かに。
更に硝片で自分を覆う壁が作られた光ちゃんも、本来であれば何か危機感を抱くはずだが、そんなものに関心を持たないのも危ない。
何もない世界こそ、今まで幸せに囲まれていた光ちゃんの心を崩壊させるには、そんなに難しくなったのかもね。彼女はおかしなった。

空っぽになった光ちゃん
果てない硝片集めの旅に出たは良いものの、今まで見てきた幸せな誰かの記憶は段々彼女の心に届かなくなってしまった。普通過ぎて。
本来であれば、この幸せはかけがえのない大事な思い出だったのに、何にも響かなくなった光ちゃんには、ある種の毒に変貌してしまったか。
それに耐えられなくなったのか、関心を持たない彼女は一人閉じこもる場所を己で作り上げてしまい、心が無くなったという感じ。
病み始めな白い少女の出来上がり。
今回はここまで。ただただ喜びだけが、人を動かす原動力ではない。良いことも悪いことも知っているからこそ、幸せは初めて感じられるもの。
しかし今の光ちゃんには、幸せすぎるという一点が悪いほうに段々作用し始めているように見える。さぁ、彼女の運命は如何に?
記事公開日:2021年5月3日最終更新日:2025年3月28日 「心を失い膝をつく彼女は、見ていて痛々しい」。ここまで幸せに満ち溢れていたはずなのに、光ちゃんはどうして…。空虚な女の子になってしまっ[…]