記事公開日:2020年7月14日
最終更新日:2025年10月2日
「姉は妹を自愛の目で接し、妹は姉を大切で完璧に見える存在として愛する」。という、美しい姉妹愛が描かれたこのお話。
今回はサイドストーリー、“Binary Enfold”の後半をどんどん読んでいこう。今のところ、かなり明るめなお話が展開されているが…。
Arcaeaストーリー Binary Enfold②
一つ前では、このお話の最初の部分を辿った。すでにエト&ルナは、記憶の硝片を操って中身を読める能力を自覚しており、思いのままに記憶を覗く。そこでどちらがより音楽演奏がうまいかの勝敗を競ったり、海に入った後に泳ぎ出したりとずっと二人で行動してきた。とにかく仲が良い。
記事公開日:2020年6月20日最終更新日:2025年10月2日 「ちょっと子供っぽくかわいい双子の姉妹のお話」。本作で初めて実装された、コンビでのパートナーと言えばこの子たち。今回はサイドストーリー、[…]
さてここでは、その後の続きを読んでいきたい。とにかく、このまま不穏なことも無く気ままにArcaeaの世界を生きてほしいところではあるが…。何が起きるかわからないのがこのゲームのストーリー。さすがに突然、光&対立みたいに憎悪からの激闘とか無いよね?
無慈悲な試練はいらない


https://arcaea.lowiro.com/ja
そのまま前半より一本道で進めるので、何も迷う必要はなし。
10-4
塔の螺旋階段を、眠り込んだエトを背負って登るルナの場面。塔は窓がなく暗く、足音と吐息だけが響く。普段は姉の完璧さに圧倒されがちなルナだが、今は姉が重くて自分が運ばねばならない。
ひとりだけの時間に、ふと昔の子守唄の一節を思い出すと、その続きを姉が気だるげに歌いながら起きていて、髪に顔をうずめたり吐息で弄ったりする。ルナは顔が熱くなり、恥ずかしさと嬉しさが入り混じる。
姉は冗談まじりに「二番は?」とせがみ、ルナが「うるさい」と返すとケラケラ笑う。途中で「暖簾に腕押し」みたいな言葉が出てきてルナは戸惑うが、結局エトを斜め後ろに下ろして背中をぽふぽふと叩き、頭を撫でられる。
姉は「一番上まであと少しよ……たぶんね!」と笑い、ルナは妹として扱われることを受け入れる。普段は反発もするが、そのときだけは甘えてもいい──という密やかな合意のような場面で終わる。姉妹のじゃれ合いと、肩の力が抜ける愛情が丁寧に描かれている。
今度は海の近くにあった塔を登り始める2人。疲れて寝ているエトをルナが背負い、ひたすら上へ。歌をきっかけに、エトが目覚めまたルナをからかいだす。相変わらず仲の良さは変わらない。からかい上手のエトさん。


10-5
灯台の頂上、灯りがあるはずの縁に二人でいる。片方は膝を立てて座り、もう一人は立ち、互いの手指でリズムを刻むように、理由のない指弾きの遊びを続ける。
若い方が「もし私の方が上になったらどうする?」と仮定を並べれば、姉はあっさり「ヘンなifばかりね」とかわし、でも二人とも少し笑みを浮かべる。
手をつなぎ、視線を遠くの地平へ合わせると、世界は乾いていて、確かに感じられる命はお互いの鼓動だけだと気づく。やがて言葉は柔らかく、「また庭いじりをしたいね」と交わされ、素朴な願いがそこに生まれる。
ちょうどそのとき、紅い彗星が天を裂き、陽光の向こうに夜が忍び寄る――静謐で少し切ない、二人だけの瞬間がこの彗星によって切り取られた。
塔の頂上で、二人は話す。妹がもし自分が姉になったらという仮定の話を並べると、実際の姉はよく分からない仮定ばかりだと返す。そんな他愛のない会話。すると、遠目から赤い彗星が見え、段々夜になってきたみたいだ。という、まだまだゆったりした時間を過ごす落ち着いた二人って感じだね。


10-6
昔の出来事として語られる双子の終章。夜の帳が下り、空が砕け散る前のこと──姉妹は携えた剣を握るたびに、「物事には終わりが来る」という実感を抱いていた。Arcaeaは不可逆に壊れていくと知りつつも、突然の凄惨さを前にして動揺は案外小さかった。
片方が「残りの時間は思い切り遊ぼう」「限界まで幸せに」と言う中で、本心はただ「あなたとだけ一緒にいたい」という願いに尽きる。
二人は旅を続け、崩れかけた階段を降り、飛び降りる瞬間に抱き合って壊れゆく地平を見届ける。空も大地も裂け、世界の深層が崩壊していく光景のなかでも、歩みは止めない。戻ることはいつでもできると知りつつも、もう一歩、もう一曲、もう一度──そう決めて、手を取り合い、それぞれの手にある鍵を空へ向ける。
光が満ちる瞬間、双子は残されたArcaeaへと還されるように新たな記憶へと溶け込んでいく。崩壊も喪失も抱えながら、それでも互いと踊り続ける意志だけは変わらない。結局のところ物語は、終わりを知る者たちの静かな覚悟と、いつでも何度でも相手と踊りたい──その揺るがぬ愛情で締めくくられる。
どうやら夜になった直後、空や地面が全て崩れ始めてしまったようだ。この世界の崩壊が始まってしまうが、二人はあまり動揺していない。お互い「あなたと一緒にいたい」という願いを抱えたまま、持っている鍵(剣)を天にかかげ、新たな記憶に溶け込む。それでも消えぬ愛情は変わらぬままという。
つまり、肉体的には二人でいられなくなるのだが、抱く想いはずっと一緒にくっついたままの愛情だよってことか。
ハッピーエンドというには微妙なところだが、やはり愛する者同士の結びつきがどれほどまでに強いのかってことを強く表現されてたね。この二人であれば、次の転生先でもきっと同じ場所で巡り合えると信じて…。


あなたといつまでも踊りたい
というわけで、”Binary Enfold”の話はここでおしまい。最終的に二人がどうなったかは、ここではわからない。考えられるとすれば、一旦存在が消えてしまったかも。
ただ、体が消えても今まで二人で過ごしてきた記憶や愛情は、決して霧のように溶けてなくなることは無いだろう。
いつまでも、どこまでも。


別のゲーム(絶体絶命都市無印)が通じるかわかんないんだけど、この作品のエンディングってベストエンドが悲劇になっちゃうんだよ。
簡単に言うと、主人公とヒロインが仲良くなりすぎると助からない結末になっちゃうんだが、なんとなくそれを思い出した。
今回はここまで。こんな状態なので、もうエト&ルナは物語上に再登場することは無い…。と思いきや、ちゃんと別の外伝で出てくる。
時間軸的にはこの話の前なのか後なのか、実際に読んでみてからじゃないとわからないけど、この二人はまだ終わりじゃない!
まぁそれは置いといて、次はアーカイブストーリーという更に短めな話を辿っていくとしよう。ターゲットは”Scarlet Cage”より。
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