記事公開日:2020年9月12日
最終更新日:2025年10月6日
「その両手からこぼれ落ちそうなものを、女はひたすら食い止めるために動く」。できることがあるなら、自分の手で何とかしたい。
この一心を持って、”ミール”は必死に己の運命に抗おうと躍起になるのだ。
今回はアーカイブストーリー、”Vermilion Shield”の続きを読むよ。ここでこの話はおしまいになり、”ミール”の辿る結末が分かる。
Arcaeaストーリー Vermilion Shied②
前回は自分の手で守りたいものを守り切れない絶望に打ちひしがれ、倒れる”ミール”の元へある銀髪の少女がやってきたところまでの展開だったね。
会話を広げるうちに少し打ち解けてきたが、”ミール”の視線の先には、人を神隠しに合わせてしまう記憶の硝片があり、このままでは銀髪少女が危ういかもしれない。
記事公開日:2020年8月31日最終更新日:2025年10月6日 「死の淵に立つ女の生き様を、実を持って体感する」。彼女は剣を振るい、記憶の中にいる人々をこれまで幾度となく助けてきた。しかし、一人ででき[…]
ここではその危機一髪な状態から、物語が再開する。改めて、”ミール”は自分以外の他人を、己の力で守り通すことができるのか。目の前に広がる現実には勝てないのか?
決してなまくらでない彼女の剣
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8-7
砂丘をさまようミールと銀髪の少女。語り合いながら歩くうち、少女は硝片=記憶のことや自身の不安を饒舌に語り、ミールは自分の流血や疲弊、これまでの失敗を静かに返す。安堵の言葉が漏れた矢先、ミールの胸に突き刺すような痛みが走り、背後に黒い“影鳥”の群れが迫っているのを察する。
煙のような物質ででき、赤い三つ目だけが光るそれらは飛行して襲いかかってくる。銀髪の少女は無防備にミールにすがり、助けを乞うが、ミールは疲労と絶望に押し潰されかける。
剣を抜き敵に立ち向かうものの、戦場で鍛えられたはずの闘志すら空虚に感じられ、「これが定め」「どうせ少女は死ぬのだ」という諦観が胸を支配した。
それでも、なぜか「価値」を見つけたいという引っかかりが残り、三者のために捧げられるはずの墓碑――という構想が脳裏をよぎる。ところが、絶望の淵で状況が凍りついた瞬間、場を切り崩すような一喝が飛ぶ。黄金の錯覚のような声は苛立ちと信頼を帯び、銀髪の少女が叱責する。
二人で語らっている最中に、あの記憶の硝片から異形の獣がやってきた。何とかミールは応戦するが、その間に銀髪の少女が襲われてしまい、女はこれが運命なのだと思う。
でも簡単に諦められない、人の価値を見つけたいミールは戸惑う。その後その姿を見た銀髪の少女は、大きな声で「突っ立っている場合じゃない、戦え」と一蹴したんだよね。


8-8
砂丘で影獣に追われ窮地に立たされたミールの前に、襲われかけていた銀髪の少女が現れた。彼女は戦斧のようにギターを振り回し、武器さながらに影獣を殴り飛ばしていく。
瀕死で震える体ながらも、その金色の声でミールを叱咤して前を向かせ、「私を信じる道をあげる」と話し、剣を振るうよう促す。
ミールは一度は諦めかけていたが、少女の檄に呼応して覚悟を固め、胸の奥の力を取り戻す。黒曜の剣を携えて三連の豪快な斬撃を繰り出し、影の群れを一掃する。戦いの最中、これは「定め」や「宿命」ではなく、自分が選んだ道だと実感する。
記憶世界の構造が裂ける中、本来なら死ぬはずだった少女は消えず、生き残るという筋書きの狂いが生じる。戦後、二人は荒野に戻され、周囲の記憶は止まり、救われた事実を噛みしめる。ミールは初めて心から笑い、涙を浮かべる——この世界で初めて味わう、救済と希望の瞬間である。
信じられないことにギターを武器に、震える体で異形を打倒した銀髪の少女。それを見た”ミール”は再び覚悟を決め、剣を振るう。そうして、銀髪の少女が死ぬ運命を変えた。
絶望に塗れた白い世界において、女が初めて感じた酷い運命を変えるという事実。これこそ、”ミール”が戦いながらもずっと渇望していた待ちに待った瞬間なのかもしれない。
そして銀髪の少女がギターを振り回した=名前は出ていないけど、この娘が”調”であることはほぼほぼ確定したね。やっぱりかつて彼女の歌を聞いていたのも、”ミール”だったんだ。


8-9
戦いの後、ミールと銀髪の少女は並んで座り、少女は掌で赤い四角布に縫いぐるみを仕立てている。ミールはふと既視感を覚え、それが記憶世界に棲む「化け物」の一種だと気づく。少女はそれを愛らしく仕立て上げ、ミールの絶望や疑念をそっと読み取っているように見えた。
ミールの胸には、世界の成り立ちや自分たちの正体、過去の有無といった問いが再びよぎる。しかし今は、それらを持て余すだけではなく、向き合う価値があると考え始める。立ち上がって歩き出す直前、ミールは少女に「来ないのか」と問いかける。
少女は一瞬戸惑うがすぐに「すぐ行く」と答え、二人は相互に見守り合う約束を交わす。
もしミールが再び記憶に引き込まれたら――少女は必ず迎えに行くと誓い、ミールも同様に彼女を迎えに行くと応じる。互いの存在が互いを前向きにし、ミールの肩の力はほどける。物語は、問いを抱えながらも他者とともに歩みを進める決意と、二人の新しい相棒関係の確立で締めくくられる。
銀髪の少女が縫ったものを見ると、”ミール”は自分が抱いていた絶望を見透かされたように感じた。がしかし、すぐに女は歩き出し銀髪の少女もついてきた。
この先、女は前方の剣として、銀髪の少女は後方の盾としてこの世界を渡り歩いていくのだろう。戦いを通して、相性の良い相棒に昇華されたね。


新たなパートナーと共に
当初”ミール”は、またもや自分で守り切れない事実に打ちひしがれていたが、出会った銀髪の少女はこれまで記憶の中で見た人間とは一味違った。この娘は、自分自身で現状を打破しあまつさえ己よりも強いミールに発破をかけるほど。精神力という意味では、銀髪の少女のほうが強かったみたい。
お互い頼れる相棒にレベルアップ。
今回はここまで。人間の強さはただ腕っぷしや技術だけでは測りきれない、精神力という面においても重要な要素。次はまた別のアーカイブストーリー、”Dark Ambition”へ。
記事公開日:2020年9月5日最終更新日:2025年10月7日 「その黒い野心を持つ彼女は、何をもってこの世界をさまようのか」。ambitionというのは、野望や大志といった意味合いを持つ。この名の[…]